京都市南区のシロアリ駆除現場で撮影した、ヤマトシロアリが作った完璧な空中蟻道です。
土壌から積上げ床板の高さまで作成し、写真のように根太材を食害中でした。
食物である材木まで到達していない未完成の空中蟻道は、私たちは日常茶飯に見ています。
しかしこの家の様に100パーセント完成したものは、過去に何例しか見ることはありませんでした。
そもそもなぜシロアリは蟻道を作るのでしょうか。
乾燥や光を嫌うシロアリは、アリの様に人が目に付く光が当たる場所では行動しません。(歩き回りません)
彼らは通常床下の土の中に住まいを構えます。
土台や束柱、根太の材木は仕事場(木を食べるという仕事)にあたります。
住まいから仕事場に行くには通勤道が必要になります。
その道が蟻道になるのです。
蟻道はトンネルになっていて、遮光と調湿の役目を果たしています。
通常、蟻道は基礎や束石、材木の表面に糞や土によって作られます。
その場所の方が強固で、手間も少なくてすみます。
しかし空中蟻道は下から積上げて作られるので、途中でつぶれるケースが多いようです。
シロアリは基本的にまめな生物ではなく、食べ易く、生活しやすく、出来れば手間をかける必要の無い場所で生活します。
それなのに30センチ離れた所に基礎と土台があるのに、わざわざ手間のかかるリスクの多い方法で作るのでしょうか。
この疑問は同業者仲間の間で話題になりますが、的確な回答は出来ません。
シロアリと会話できれば、なんだそうだったのかと思うのでしょうね。