シロアリ調査で床下に入ると色々な被害を見かけますが、今回は腐朽菌、カビ、シロアリについてお話したいと思います。
左写真は腐朽菌によってボロボロになった束柱です。
右写真は床板を支えている根太材に発生したカビです。
シロアリの被害写真ここに多数アップしています。
腐朽菌とカビはどう違うのでしょうか。
どちらも1.水・2.空気・3.温度・4.栄養が必要で、その内のどれがかけても繁殖できません。
逆に言えば4つの項目の内一つだけ無くせれば、発生を抑えることが出来ます。
腐朽菌とカビは1.2.3の項目では大きな違いはありません。
違うのは4.の栄養源と何に害を与えるかです。
腐朽菌は木材そのもののリグニン、セルロース、ヘミセルロースを栄養として繁殖します。
これらは強度を維持するのに大変重要なものですので、無くなれば大きなダメージを与え、写真のように材木がボロボロになります。
よって建物強度を大きく落とし、耐久性が少なくなります。
一方カビは木材表面のほこりや、木材中のわずかなデンプンやたんぱく質を栄養源としていています。
木材中には侵入しませんし、セルロースやリグニンを分解する能力はありません。
表面に付着しているようなもので、拭き取れば大まかに取ることが出来ます。
右写真の中央部ですが、指で拭いた所に健全な木材表面が確認できます。
よって建物強度を低下させることありません。
ただ、カビは大量の胞子を飛ばし、それはアレルギーを引き起こすなど体に悪影響を与えるものもあるので、注意が必要です。
次にシロアリです。腐朽菌やカビよりも高等な生物ですが、同じように1.2.3.4の要素が必要です。
栄養源は腐朽菌と同じようにセルロースが主です。その為木材強度を無くし、建物の大きな大敵になるのです。
セルロースは分解しにくい物質です。
バラバラにするのにセルラーゼ酵素が必要で、シロアリは腸内にセルラーゼを作る原生生物を共生させています。
近年シロアリ自身がその酵素を持っているのではないかと考えられています。
まとめます。
シロアリと腐朽菌は家屋の大敵で、カビは人に対して大敵となりえます。
なお別の機会に書きますが、シロアリ、腐朽菌、カビ対策はそれぞれ違います。
単純に床下換気扇をつければOKというものではありません。