大阪府高槻市の木造住宅ですが、根太間に断熱材を隙間無く取り付けています。
材木の多くが隠れているので、被害を探すのが困難になり難しいシロアリ駆除処理になります。
その条件はシロアリに格好な住処を与えているようなものです。
近年高気密、高断熱仕様の住宅が一般化しています。
その仕様を満たすのには、断熱材(1.発泡スチロール、2.スタイロフォーム、3.グラスウール等)の多用を避けては通れません。
近年は1と2が多く3は少なくなりました。
ここは床下にグラスウール(短いガラス繊維でできた素材で、断熱材以外に吸音材としてもスピーカー等にも使われる。)が使われていました。
この素材は値段が安く、断熱性能が良く、加工しやすい等多くの長所があります。
反面、水を含むと乾燥には時間がかかり、高湿度状態が長時間続くという欠点があります。
その様な素材を高湿度の床下に使用した場合どうなるでしょうか。
誰が考えてもわかるように、より湿気た場所を作っているのです。
材木周りにその素材を囲んで断熱しているのです。
床上に暮らす住民にとって、快適な温度を提供しているのですが、床下では快適な環境をシロアリに提供しているのです。
私たちシロアリ駆除業者にとって厄介なことは、グラスウールを捲りながら被害有無を確認し、駆除処理をしないといけないのです。
以前の夏は暑かろう、冬は寒かろうの家屋であれば、断熱材はなく全ての材木がむき出しで被害確認も容易でした。
この様な床下構造が一般化しているので、今後同様の被害が増えていくだろうと思います。
対応する為には、しっかりと床下被害調査をして、手間はかかりますが根気強く駆除処理をしていく必要があります。
近年防蟻性能を備えた断熱材が販売されています。
私自身使ったことがないし、それを使っていた家屋も2件(基礎断熱に使用)しか見ていません。
(地域によっては使用率が高いのかもしれませんが)
防蟻性能、有効期間、価格等色々な要素でまだ一般化していないのでしょうか。
又は建築関係の人に、床断熱材使用によってシロアリ発生率が高くなること自体認知度が低いからでしょうか。
今後上記の材料が一般化するまで、まだ時間が要すると思います。
その間多くの家屋が建てられ、この家の様な被害が増えていきます。
少々厄介なシロアリ駆除作業になりますが、私たちシロアリ駆除のプロはより完全な結果を出せるよう作業方法、使用薬剤等の検討、勉強が必要です。