床下に入ってシロアリ調査を行う時、廃材(建築時、リフォーム時に排出されたままの木)をよく見ます。
写真は京都市西京区の築28年の家屋で撮影しました。
多くの廃材の中で、ミミズの様に土がついているものがチラホラ確認できました。
その土は蟻道と呼ばれるもので、そこにはシロアリが現在生息しているか、過去にいたかどちらかです。
全ての廃材に生息するとは言いませんが、無ければ侵入するされる確立は低くなります。
何回も書いていますが、日本で大多数を占めるヤマトシロアリの住処は土壌です。
たまにシロアリが生息している材木を工務店が使用したので、被害が大きくなったといわれるお客様がおられます。
その様な木を専門家が使うわけありません。
建物が出来た後、羽アリやシロアリが侵入しその家に生息するのです。
侵入しても真っ先に材木には行かないで、自分たちの家を構築するのに土壌にもぐります。
土の中で女王が卵を産み、職蟻や兵蟻になり、コロニー(繁殖のための群れ)が形成されます。
コロニーを作りやすいのはどのような環境でしょう。
暗く、適度の湿度があり、風の流れが悪く、食物である木材(畳、紙でも可)がある環境です。
床下はその条件そのものです。
上記の中で木材等が無かったら、食べていけないので彼らは生息できません。
特にヤマトシロアリは面倒くさがりやの生き物です。
ご飯である材木が近くになければ、その場所には生息したがりません。
この家のように廃材がゴロゴロしておれば、「美味しいご飯が沢山あるよ。こっちへおいで」と言ってる様なものです。
現に廃材をひっくり返すと、無数のシロアリが活発に動いていました。(右写真)
家の土台や柱等に被害はありましたが、幸い軽微なものでした。
しかし年数が経過するにつれてシロアリの数は増え、廃材だけではご飯が足りなくなります。
その時何を食べるのでしょうか。・・・
毎回調査する度に思いますが、シロアリ対策とは生息しにくい環境の家作りをすることだと。